エクロース家の農業日誌

(株)トミーウォーカー運営のプレイ・バイ・ウェブ(PBW)ゲーム『エンドブレイカー!』内のキャラクタのブログです。
Posted by 鏑木

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サイドストーリー『守りの誓い』

エンドブレイカー!
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 この作品は株式会社トミーウォーカーのPBW『エンドブレイカー!』を題材に、登場キャラクターのプレイヤー様了解のもと、鏑木が作成したキャラクターオリジナルの物語です。
 本文の著作権・文責は鏑木に、題材となった『エンドブレイカー!』の権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
二次創作ガイドライン(株式会社トミーウォーカー)
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 のっけからなんだか濃いことを書いてますが、時候のあいさつみたいなもんですので。
 読者様はお気になさらなくても全然OKです。


 今回は守りの誓い・ブライアン(c30068)さんのプレイヤー様了解のもと、うちのエリアス君との出会いを綴ってみました。


 文章量は約五千字。
エンドブレイカー!』のリプレイとほぼ同じ分量ですね。

 それでは。
 お時間がおありでしたら ReadMore でお願いします。




『守りの誓い』


●腕自慢
「世界の瞳」と呼ばれる謎の超巨大遺跡と融合するように建築された都市国家、紫煙群塔・ラッドシティ。その一角には「西風通り」なる目抜き通りがある。紫煙に包まれた暗い雰囲気のラッドシティのなか、通りには劇場や洒落たレストランなど華やかな店が軒を連ね格好のデートスポットにもなっていた。
「よう、俺と戦っていかねぇか?」
 通りの少しはずれにあるこぢんまりした広場の入口で、スーツアーマーを着崩した筋骨隆々の男が怪しい腕自慢をしていた。守りの誓い・ブライアン(c30068)だ。
「おっ、そこの腕っぷしの立ちそうな兄ちゃん、一戦どうだい?」
 たまたま通りかかった若い男の腕をむんずと掴み、自分の顔の迫力を自覚しているブライアンはとびっきりの作り笑いで話しかけた。
「参加料は一回十ダルク。先にこの箱に入れてくれな。もし俺に勝てたら、この箱に貯まった参加料はぜーんぶ兄ちゃんのもんだ。どうだ? 悪い話じゃねぇだろ?」
「ひっ! ゆ、許してくださいっ。お金なら置いて行きますからっ!」
 腕を掴まれ目が合った通行人はそれどころではないらしい。ブライアンの笑顔が怖いのだろうか。
「なんでぇ、ったく……。根性のねえ野郎だぜ。おら、もう行っていいぜ。つーか行っちまえ!」
 通行人を蹴飛ばしてから廻りを見渡し、ため息をついた。広場の入口は市場街に面しており、隣にはバナナ売りの老女がいる。その向こうでも日焼けした男が野菜か何かを売っている。要約するなら「いたって平和な景色」といえた。
 ちっ、商売の場所を間違えたぜ。今日はもう店じまいかな。

●チンピラ
 ブライアンが片付けをはじめて少ししたころだった。
「おい、ババァ!」
 隣のバナナ売りの老女に二人組の男がくってかかっていた。
「昨日ここで買ったバナナが腐ってたんだよ! どう落とし前付けてくれんだ! あぁん!?」
 インネンを吹っかける男たちはそのスジのチンピラらしき服装をしていた。ひとりは老婆の首根っこを押さえてインネンを吹っかけ、もうひとりはバナナの入ったワゴンを物色している。
 なんだ、ただのタカリかよ。それも基本に忠実なごくごく典型的なタカリときたもんだ。ラッドシティは治安が不安定だとは聞いていたが、こんな儲けにもならないような平和な裏通りでもタカリがいるとはねぇ。
 ブライアンが半ば呆れながら見ていると、バナナ売りの老婆はなにかとりとめのないことをもごもごと言い返そうとしていた。
 あぁ……ったくババァ、それじゃダメだ。この場面で自信の無い受け答えをしちゃ相手の思うつぼなんだぜ。
 ランスブルグの裏世界で生きてきたブライアンにはチンピラの手口が理解できる。いまの受け答えでチンピラは老婆を「カモ」と踏んだだろう。あとはもう「がっぽり」いただくだけだ。
 しゃあねぇ。隣で商売してるよしみだ。
「おうっ! 兄さんたち。いたいけなバナナ屋のババァからカツアゲするのはやめねぇか。つーか、金持ってねぇぞ、そのクソババァ。稼ぎてぇんなら俺と勝負しねえか?」
 そして俺の売上げに協力してくれや。とは心の中だけで付け加えておく。
「あーん? 誰がカツアゲだごるぁ」
 ブライアンはわざと自分の武器を見せながら言ってみた。しかしチンピラどもはこちらの技倆を察しようという気配すらもなくただやみくもに喧嘩をふっかけてくるだけだった。なんだ、てんで素人じゃねぇかよ、と胸中に呟きながらブライアンは愛用の盾を構える。
「ルールを説明する。参加料は一回十ダルク。で、この箱に……」
「んだこらぁ。盾のうしろになんかに隠れて、俺たちが怖いのか? あーん?」
 チンピラは説明するブライアンに顔を近づけると卑下た笑い声を出して挑発した。
「ひとの話は最後まで聞け」
 ブライアンは盾を構えたまま突進し、チンピラに激しくぶつかった。盾を扱う者の基本の技、シールドバッシュをぶち当てたのだ。チンピラは「ぶべっ!」と奇妙な声を発しながら通りの反対側に吹っ飛んでいった。
「もしお前らが勝ったら箱の中のダルク金貨は全部やる。どうだ、勝負するか? ……って、もうすでにひとりは吹っ飛んじまったけどな」
「て、てめぇ!」
 残ったチンピラは、手に持っていたバナナを投げ捨てるとナイフを取り出し飛びかかる。ブライアンは不意を突かれて避けきれずに若干の傷を負った。
「ちっ。チンピラ風情がっ!」
 ブライアンは反撃をあきらめ仕切り直すために盾を構えて完全防御の態勢を取った。熟練のガードテクニックにチンピラの攻撃はことごとく無効化される。
 激昂したチンピラはもう一度ナイフでブライアンを横切りに斬りつけてきたが、今度は落ち着いて盾の角でチンピラのナイフをはじいた。それからつづけざまに盾で数度殴りつけるとチンピラは簡単に気を失った。
 やれやれ……ったく。
「おいこらぁ!」
 先ほど、通りの反対側に吹き飛ばしたチンピラがいつのまにか老婆の首にナイフを突きつけていた。
 ちっ、さっきのヤツ、まだ元気でいやがったか。しくじったぜ。
「あんまなめた真似してっとこのババァぶっ殺すぞごるぁ」
 昔のブライアンならばこの状況でも何も思わずに戦い続けただろう。しかしいまは自分にエンドブレイカーの契機を与えてくれた少女の願いと故郷の天槍《てんそう》に誓った自《みずか》らの思いが胸をかすめ、動くことができないでいた。状況を打破するために老婆に目配《めくば》せしようにも、老婆は物も言えず恐れおののいて役に立ちそうにない。
 さて、どうしたもんかねぇ。
 ブライアンはつとめて興味無さそうに頭を掻きながら言ってみた。
「あー……あのな、一つ聞きたいんだが、なぜこの場面で人質なんだ? 俺はそのババァと面識ねぇぞ? それにそのババァはお前たちの金づるなんだろ?」
 なんてことはない、ただの時間稼ぎだ。
 ったく、なんか良い策はねぇのかよ。俺ぁ、考えるのは苦手だぜ。

●キノコ
 と、チンピラにそっと忍び寄る人影があった。先ほどバナナ屋の向こうで野菜か何かを売っていた日焼けした男だ。男は目が合うと人さし指を口に当てた。
 無茶するな、と言おうとしてブライアンは言葉を飲み込んだ。日焼けした男の瞳からある気配を感じたのだ。印象が強いというか懐かしいというか、一種独特な感じ。俺はこの感覚を知っている。アイツも俺と同じエンドブレイカーだ。
 男はチンピラの背後に回り込み鞄からピンク色のキノコを取り出すと、大きく振りかぶってチンピラの横っ面にぶちつけた。「自由農夫」と呼ばれる特殊な職業の者だけが扱える希少植物「マジックマッシュ」である。扱い方の難しい幻覚性のキノコを零距離で顔に当てられたのだからチンピラはたまったものではない。「うっぷ」とふらつきつつもとっさに反撃しようとした。が、手足が痺れて思うように動けない。
 そのすきにチンピラから老婆を奪うと、男はさらにキノコをぶち当てチンピラを虚脱状態に陥れてから笑顔で言った。
「お前さん方の昨日のことはおら知らん。んでもな、いまさっきお前さん、バナナを道に投げ捨てただな? これは大地の恵みへの冒涜《ぼうとく》だべよ。おばちゃんに謝るだ。謝らんかったら城塞騎士様のところに連れて行くだよ?」
 少し論点がずれている気がしないでもないが、助かったことに違いはない。ブライアンは内心ほっと胸をなで下ろしていた。

●あらたなる誓い
 気絶したりキノコで幻覚を見たりしているチンピラどもをまとめて城塞騎士に引き渡したあと、手助けしてくれた日焼けした男は行商のキノコ農家・エリアス(c25938)と名乗った。
「よう、すっかり借りを作っちまったな」
「気にすんな。おら、べつに借しとかそっだらこと、思ってねぇだよ」
「キノコ屋か。珍しい仕事だよな?」
「そうか? キノコってな、こう見えてけっこう売れるんだべよ。エノキ、シイタケ、マイタケ。季節を問わず汁物や揚げ物には絶対必要な脇役だからな。みんなキノコが大好き……のはずなんだ。だけんどな、なんでかおらのキノコだけが売れんのだべよ」
 そう言うとエリアスはピンク色のキノコを手にとってひとくち囓った。
「こんなにうまいのにな」
「お、おいっ! 手に持ってるそれ、ピンク色のそれだよ! そ、それ売り物だったのかよっ。俺ぁ、てっきりさっきのマジックマッシュかと思ってたぞ」
「ああ。マジックマッシュはこっちだべよ」
 エリアスは鞄からピンク色のキノコを取り出してブライアンに見せた。
「で、こっちがおらん家特製おいしいキノコだべ。な? ぜんぜん違うだろ?」
 どう違うんだよ、という言葉を飲み込みブライアンは聞いておきたいことを切り出してみる。
「そうか、違う……かもな。それにしてもお前も、その……」周りを確認してから声を落とす。「エンドブレイカーなのか?」
「おらもあんまようわからんがの。どうも前からそうだったみてぇだな」
「前から? ってことはお前のきっかけはイノセントか……そっか。ま、とりあえず、おかげで俺は天槍《てんそう》への誓いを守れた。感謝するぜ」
「『天槍《てんそう》』ってことは兄さんは天誓騎士様だったんだべかぁ。おらぁ、てっきり裏稼業かなんかのおひとかと思っただよ」
「おー、笑顔でけっこうズバリ言うねぇ。でもビンゴだぜ。騎士の前はしがない殺し屋稼業だったのさ。さすがキノコ屋。人を見る目あるねぇー」
 ブライアンはがははと笑いながら迫力のある笑顔でエリアスの肩を抱き、そのまま首を押さえ込んだ。知らない人間が見たらどう見てもカツアゲもしくは虐待しているようにしか見えないが、ブライアンにとっては立派な友好の証なのだ。
「い、痛ぇだよ」
「おう、すまんすまん。でもよぉ、裏稼業ってわかってんならお前、俺が怖いとか思わなかったのかよ?」
「騎士様はおばちゃんが人質に取られたとき、攻撃をやめたべな? ならきっといい人だ。いい人だったらおら、ぜんぜん怖くねぇだよ」
 いい人、か……ったく。また勘違いされてんぜ。
 故郷ランスブルグで他人に言えないような裏稼業をやっていたブライアンは、とある事件の巻き添えで一般の少女を死なせてしまった。少女はその深い傷によって死の間際にエンドブレイカーの力に目覚め、ブライアンを守人《ガーディアン》に選んだ。おそらく少女も無意識の行動だったのだろう。少女はマスターとしての力を行使してブライアンに懇願した。「みんなを助けて」と。さらに少女の言う「みんな」とは、裏稼業でターゲットになるような人間も含まれていた。
 かくして、仕事ができなくなった殺し屋・ブライアンは亡き少女の願いを叶えるため、故郷ランスブルグに口伝のみで伝わっていた伝説の天誓騎士のへの道を探し出し、理不尽な終焉を破壊する者、エンドブレイカーとして生きていくことになった。
 良くも悪くも、以後のブライアンのすべてを縛っているのはその少女の最後の願いであった。
 ……って、我ながらけっこう波瀾万丈だよなぁ。んなもん、簡単に説明できねぇぜ。ったくよぉ。
「んま、なんにしろキノコ屋、お前には借りができちまったな。天槍《てんそう》への誓いにかけて。しばらくはお前の盾になってやんぜ。俺ぁある事情から故郷の天槍《てんそう》に『すべての者を守る』と誓ったんでな。手始めにまずは目の前のひとりから、ってわけだ」
「ん? 『守る』ってことは兄さんのきっかけはガーディアンなのか? でもおら、兄さんのマスターになれる傷持ち《スカード》じゃねぇだよ?」
「んな細けぇこたぁいいんだよ。俺が守るっつってんだから守ってやる。それだけだ。文句あっかよ」
「ふーん。まぁ好きにしてくんろ。仲良くしようってことなら、おら全然オッケーだよ。はい。おひとつどうぞだべ」
 そういうとエリアスは人好きのする笑顔でキノコを差し出した。
 つややかな蛍光ピンクのキノコを手に取り、ブライアンは「お、おう」と言ったまま手を止めた。
 ……ホントに食えんだろうな、これ?
 見るとエリアスがニコニコとこちらを見つめている。
 ま、しばらくはこのヘンなキノコ屋の盾になんのも悪くねぇか。マヒしたらしたときだ、毒く食らわば皿まで、ってな。
 ブライアンは目をつぶると、キノコを一気に口のなかに放り込んだ。

 キノコは意外と旨かった。
 が、素直に褒めるのも癪に障るので「ま、なかなかいけんじゃねぇの?」とだけ言っておいた。





●あとがき


「せっかく既成のルールがあるんだから、使わなきゃもったいないじゃん」ということで戦闘シーンはすべて『エンドブレイカー!』のルールで判定しています。出目の効果を文章に落とし込む作業がとても楽しかったです。はい。


 あと、書かせていただきながら何度も「あー、ブライアンさんかっけー♪」と思いました。
 侠気《おとこぎ》があって、筋骨隆々で、それでいてひとなつっこくて面白い。結局、最後には人助けをするんだけれど、素直に「助けてやる」とは言わないんですよね。まさに中年ツンデレ。とっても良いです。「……ったく」が口癖なのも良い設定ですよね。危うく萌えそうでしたよ。
 はやくバストアップが完成してお顔を拝見したいものです。

 文中ではできるだけリクエストの「中年ツンデレ」になるように心掛けましたが、どうだったしょうか? ブライアンさん以外の方もお気軽に感想を書いていただけるとうれしいです。


 ホントのブライアンさんはもっと中年ツンデレでおもしろい人なのでエンドブレイカーさんは感情を抱くといいですよっ。


●今回の登場人物
守りの誓い・ブライアン(c30068)
行商のキノコ農家・エリアス(c25938)
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